「GOSICK」の桜庭一樹による新境地、青春暗黒ミステリー。
ひと言で言うならば、僕の好みの完全直球ど真ん中って感じの作品であった。
本書はライトノベルなのだが、話自体は全くもってライトではない。どしょっぱつで主要登場人物が死ぬし、親からの虐待が描かれているからだ。しかしその暗さを抱えていても、ついでに言うと、ラストが完全にわかっていても、本書は一気に読ませるだけの力があった。
それはただ一点のテーマのために、ムダを省いたシンプルなストーリー展開による所が大きい。
しかし個人的にはそれ以上に、主人公である少女二人の痛々しいくらいの逼迫感に一気読みさせるだけの魅力があったのだと思う。
二人ともまだ大人というには幼く、過酷な現実を乗り越え、運命を切り開く力をもっているわけではない。実弾を持たない彼女たちは、やわで頼りないと知りつつも、砂糖菓子の弾丸を撃ち続けることしかできないのだ。
その無力感の痛々しさと、悲しさと、苦しさと、せつなさこそがこの作品の最大の輝きであるように僕は思った。
評価:★★★★★(満点は★★★★★)
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